大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(う)142号 判決

被告人 木下金三 外二名

〔抄 録〕

次に職権を以つて調査するに、原判決は被告人木下金三の判示第一及び第二の各買収の所為を公職選挙法第二二一条第一項第一号第三項に該当するものとして処断している。然しながら同法第二二一条第三項にいう「公職の候補者」とは同法の規定に基く正式の立候補届出、または推薦届出によつて候補者としての地位を有するに至つた者を指称するものであるところ、(昭和三五年二月二三日最高裁判所第三小法廷判決参照)本件各犯行当時、被告人木下は未だ立候補の意思を有していたに止まり正式の候補者としての地位を有していなかつた者であるから、同人の原判示各買収行為に対し公職選挙法第二二一条第三項を以て処断した原判決はこの点において法令の適用を誤つた違法があり、右違法は判決の結果に影響を及ばすことが明らかであるから、原判決中被告人木下に関する部分は到底破棄を免かれない。

次に、原判決はその主文において原審訴訟費用中証人浅野八重、内田菊江、内田やす子、金井京、栗林としよ、坂口みい子に支給した分は被告人木下及び同内田に連帯して負担させ、その余は被告人三名に連帯して負担させると定めている。然しながら本件記録に照らすと、右証人浅野八重外五名は検察官より原判示第二事実の立証のため申請があり取調べられた証人であることが明らかであるから、それ等に支給した訴訟費用は原判示第二事実についての被告人である木下金三及び堀内一雄をしてこれを負担せしむべきものであつて、被告人内田亘理に対しこれを負担せしむべきものではない。果して然らば、被告人内田に対しその負担を命じた原判決は刑事訴訟法第一八一条第一項の解釈適用を誤つた違法があり、右は判決の結果に影響を及ぼすことが明らかであるから、(昭和三七年九月四日最高裁判所第三小法廷判決参照)この点において原判決は全部破棄を免かれない。

(渡辺 目黒 深谷)

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